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始業前の清掃は労働時間?

更新日:2022年3月28日




毎週月曜日にしている会社周辺の清掃活動は、ボランティアか労働時間か?







1. 清掃活動は労働時間になるのか?



労働時間か否かは、使用者の指揮命令下にあるかどうかで判断される。

そして、指揮命令下にあるかどうかの判断は、実際に口頭等で直接命令される場合だけではない。


例えば、社員が「これは『~しなさい』という意味だな」と察し、~をやらざるを得ないような雰囲気に仕向けているような場合であれば、「暗黙の指示」とみなされる可能性がある。

また、「会社のイメージアップ」を目的としているのであれば、単なる奉仕活動とするには無理がありそうだ。



ところで、労働時間とは何かについての最高裁判例で有名なものに、「三菱重工業長崎造船所事件・平成12年3月9日第一小法廷判決」があるので、その要旨を確認しておこう。


  • 労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるものではない。


  • 労働者が、終業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働時間に該当する。


  • 就業規則により、始業に間に合うよう更衣等を完了して作業場に到着し、所定の始業時刻に作業場において実作業を開始し、所定の終業時刻に実作業を終了し、終業後に更衣等を行うものと定め、また、始終業の勤怠は更衣を済ませ始業時に準備体操場にいるか否か、終業時に作業場にいるか否かを基準として判断する旨定めていた造船所において、労働者が、始業時刻前に更衣所等において作業服及び保護具等を装着して準備体操場まで移動し、副資材等の受出しをし、散水を行い、終業時刻後に作業場等から更衣所等まで移動して作業服及び保護具等の脱離等を行った場合、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、労働時間に該当する。





2. 労働時間に該当するかどうかの具体例



参考までに、どういったケースが労働時間に該当するのかどうか、過去の行政解釈から具体的にみてみよう。


(1)労働時間として取り扱われたケース ①就業時間外に実施される強制参加の社員教育・勉強会・研修など ②昼休み中の電話当番や来客当番などの手待時間 ③作業の準備や後片付けに要する時間 ④特殊健康診断(特定の有害業務に従事する労働者について行われる健康診断)


(2)労働時間とならないケース ①就業時間外に実施される自由参加の社員教育・勉強会・研修など※1 ②一般健康診断※2 ③始業前10分間のラジオ体操


※1:社員の自由意思による完全な自由参加で、参加してもしなくても会社からの評価に全く関係ない場合。

※2:労働時間とするか否かは、労使協議によって定めるべきとされている。






3. 採用面接と入社説明会で事前アナウンス



社員の自発的な奉仕活動等については、面接や入社の際に、事前に話をしておくことが大切である。

社風が合うとか合わないということをしばしば耳にするが、入社後の労務管理をスムーズにするためにも留意しておきたい事項である。






4. 実際の運用はどうすべきか



今回問題となった始業前の清掃活動では、次のような解決策が考えられる。


(1)労働時間としないのであれば、参加・不参加は社員の自由意思に任せ、一切の強制がない活動にする。


(2)労働時間とするのであれば、清掃活動の時間だけ終業時間を早めるか、時間外労働として残業手当を支給する。




 

POINT


●朝の清掃、終業後の勉強会など、就業時間外の社員活動には、労働時間になるケースとならないケースがあるが、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価どうきるかどうかが判断の決めてとなる。


●労使間の無用なトラブルを回避するためには、面接と入社時に、社風等を事前説明しておくことが大切となる。


●就業時間外の社員活動を労働時間扱いとするのかどうかは、過去の行政解釈を参考にしつつ、会社のルール・方針を明確にする。




 

4. まとめ


勤怠がちゃんとできていないと従業員の不信感にもつながります。退職した社員が労基署に駆け込み、残業代を請求してきたなんてこともあります。


また、お手続きの際に出勤簿を求められことがあります。しっかり管理していないと労基署

に目をつけられてしまうかもしれません。




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